1)生殖細胞形成に関わる遺伝子の多くは生殖腺に特異的に発現していると予想される。そこで、サブトラクション法により、線虫の生殖腺に特異的に発現するcDNAをできるだけ多く同定することを試みた。生殖腺内に減数分裂期の生殖系列細胞を多く持つglp-1(ts)変異株と、生殖腺を持たないglp-4(ts)変異株との間でcDNAのサブトラクションを行った。
2)国立遺伝学研究所の小原らの線虫cDNAプロジェクトで得られたcDNA整列バンクの約7500(全遺伝子の約4割)のcDNAがスポットされた
high density grid フィルターに対し、サブトラクトしたcDNAプールをプローブに用いてハイブリダイゼーションを行い、各スポットのシグナル強度の定量化を行った。これにより、約300の生殖腺特異的cDNAの候補が得られた。
3)in situ ハイブリダイゼーションにより発現部位を確認したところ、同定されたcDNAの大部分は確かに生殖腺に特異的に発現していることがわかった。
4)これらの遺伝子の機能を調べるため、このうち115クローンについてRNAi
法による機能阻害を行った。この方法は、各cDNAから合成した二重鎖RNAを線虫に微小注入することによって、その遺伝子の機能を阻害する方法である。この結果、70%は何らの表現型も示さず、20%に当たる23クローンは不捻の表現型を示し、6%が胚致死、3%が幼虫致死であった。
現在残りの約200クローンについてのRNAi 解析を継続している。