線虫でも他の多くの動物と同様、匂いは7回膜貫通型レセプターによって受容されている。嗅覚神経AWCではこのシグナルはGタンパク質(αサブユニットはodr-3遺伝子によりコードされる)、グアニル酸シクラーゼの働きを経て、tax-2/tax-4でコードされる環状クレオチド依存性チャネル(cGMPによって開き、陽イオンを流入させる)の開口を引き起こすと考えられている。これによる膜の興奮は、電位依存性カルシウムチャネル(unc-2はそのα1サブユニットをコードする)からカルシウムを流入させ、興奮の伝播をもたらすと考えられる。
 <図1>の結果から、ras-MAPキナーゼ経路は、これらの下流で活性化されると考えられる。我々の抗体染色の結果から、MAPキナーゼは匂い刺激後極めて短時間(10秒以内)に神経細胞全体で活性化されることが分かっている。神経の電気的興奮を介して活性化が起こると考えると、このことがよく説明できる。