研究成果 大阪大学・木村幸太郎 平成21年10月1日

神経系からの糖タンパク質ホルモンによる腸機能の制御

大石あかね1,2、安藤恵子3,4、三谷昌平3,4、毛利(塩見)亮子1、木村幸太郎1,5,6、石原健1,5,7、*桂勲1,5 (1国立遺伝学研究所・構造遺伝学研究センター、2同・技術部、3東京女子医科大学・生理学分野、4CREST, JST、5総合研究大学院大学・遺伝学専攻、6現所属・大阪大学・大学院理学研究科、7現所属・九州大学大学院理学研究院)*:corresponding author

Genes to Cells 14: 1141-1154, 2009

 動物の腸は、単に消化器官として働くだけではありません。摂取された餌を通して、周囲環境のさまざまな情報を得て、神経系やその他の体の器官へ情報を送ります。また、その逆に、神経系も、感覚器等を通じて得た情報を腸に送ります。このような腸と神経系の相互作用は動物個体に大きな影響を及ぼしますが、その分子レベルのメカニズムには不明な点も多く残されています。我々は今回、線虫C. elegansの糖タンパク質ホルモンαサブユニットホモログflr-2遺伝子のはたらきが腸における病原性細菌への抵抗性に必要であり、またリポ多糖結合タンパク質GHI-1と共に、脱糞周期の制御に関与している事を見出しました。flr-2は神経系で発現・分泌されると考えられる事から、神経系が糖タンパク質ホルモンを介して、さまざまな腸の機能を制御していると考えられます。

 

クリックで大きい画像へ

flr-2遺伝子は、幾つかの神経細胞で発現している。

× このページを閉じる