研究成果 東京大学・多羽田哲也 平成22年5月15日
Optimizing Drosophila olfactory learning with a semi-automated training device.
ショウジョウバエの匂い学習装置の開発
*村上智史1、*Dan, C. 2、 Zagaeski, B.2 、前山有子1、Kunes, S.2 、† 多羽田哲也1( 1 東京大学・分子細胞生物学研究所、2 Harvard University,Department Of MCB)*:first author †:corresponding author
J. Neurosci. Methods, 188 195-204, 2010
学習記憶を司る分子機構や神経回路を解析する上でショウジョウバエ嗅覚学習記憶系は非常に強力なモデルです。しかしながら条件付けに要する手間がネックとなっており、特に長期記憶の誘導では刺激を数時間にわたって繰り返す必要から、条件付け操作を自動化する手軽な系が求められていました。我々は今回、機器制御ソフトウェアであるLabviewを用いて自動嗅覚条件付け装置を製作しました。この装置ではハエへの匂い提示と電気ショックをミリ秒単位で細かく設定でき、GUI上でパラメータを入力することで刺激提示プロトコルを様々に設定できます。この装置で誘導される記憶に関して匂い濃度や流量を検討した結果、変異体解析に十分なレベルの短期・中期・長期記憶を高い均一性をもって誘導できること、また嗅覚中枢であるキノコ体依存性、cAMP経路依存性を確認しました。この装置では一度に複数のサンプルを条件付けすることができるため、記憶変異体スクリーニング効率の大幅な向上が期待されます。組み立てに必要なパーツはすべて容易に入手可能であり、LebviewソースファイルをWeb上に公開しています( http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/fly/htmls/download.html )。
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図:半自動嗅覚条件付け装置の概略