研究成果 東京大学・多羽田哲也 平成22年8月19日

Recognition of pre- and postsynaptic neurons via nephrin/NEPH1 homologs is a basis for the formation of the Drosophila retinotopic map
ネフリン相同分子を介した前および後シナプス神経の相互認識はショウジョウバエの正確な視神経配線の基礎をなす。

杉江淳1、梅津大輝1、八杉徹雄1、Karl-Friedrich Fischbach2、*多羽田哲也1( 1 東京大学分子細胞生物学研究所 2 Freiburg University)*:corresponding author 

Development published online before print August 19, 2010, doi:10.1242/dev.047332

 ショウジョウバエの一次視覚系神経節であるラミナでは、発生時に視神経軸索(シナプス前)とラミナ神経細胞(シナプス後)が規則正しいカラム構造を形成します (図A, B)。両者は後に、視細胞の分布が脳へ正しく投射されるような規則正しいシナプスを形成しますが、この時期のカラム構造はその基礎をなすもので、ラミナ神経細胞が視神経軸索を特異的に認識すると考えました。視神経から分泌されるHedgehog(Hh)がラミナ神経細胞における転写因子Single-minded(Sim)の発現を誘導し、Simのターゲットがこの相互認識に必要であることを以前に明らかにしておりました(図C)。本研究では野生型とsim変異体のラミナを用いて網羅的な遺伝子発現プロファイルの比較を行い、脊椎動物のNephrinホモログである細胞接着因子、Hibris(Hbs)がラミナ神経細胞で発現し(図C)、パートナー分子としてNEPH1ホモログであるRoughest (Rst)が視神経軸索で発現して相互作用を司っていることを明らかにしました(図D)。

 

 

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図:ラミナ神経細胞が視神経軸索を特異的に認識して規則正しいラミナカラムを形成する。

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