研究成果 東京大学・多羽田哲也 平成22年8月19日
Coordinated sequential action of EGFR and Notch signaling pathways regulates proneural wave progression in the Drosophila optic lobe
ショウジョウバエの視覚中枢ではEGFRとNotchシグナルの協調した逐次的な活性により神経母細胞の規則的な形成が制御されている。
八杉徹雄、杉江淳、梅津大輝、*多羽田哲也(東京大学・分子細胞生物学研究所)*:corresponding author
Development published online before print August 19, 2010, doi:10.1242/dev.048058
正確な回路を形成するためには必要な数の神経細胞を産生し、正しい組み合わせでシナプスを形成する必要があります。このメカニズムについて神経からトポグラフィックな投射を直接受ける視覚系の解析を通して新たな知見を得ました。ショウジョウバエの視覚中枢であるメダラ神経の形成においては、神経上皮細胞列の内側から外側に向かって、順次proneural遺伝子を発現することを見出しproneural waveと名付け、この発現が神経前駆細胞の規則正しい形成に必要であることを明らかにしました。この系では上皮から神経前駆細胞にいたる発生の時間的進行が発生進度の異なる細胞の連続した配列として空間的に配置されており、精度の高い解析を可能です。Proneural waveではEGFシグナルが活性化しており、それが順次隣の神経上皮細胞のEGFシグナルを活性化することによりNeural waveが進行し、神経前駆細胞の分化を進めます。その過程はNotchシグナルにより制御されており、その観点からこの過程を細分化することができます。また神経分化様式の違いにおけるNotchの機能分化を提唱しました。
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図:メダラ神経母細胞の形成