公募研究 国立遺伝学研究所・岩里 琢治
野生型および変異マウスにおけるバレル回路形成素過程の解析
国立遺伝学研究所・形質遺伝研究部門 教授
岩里 琢治
高等動物の複雑な行動の基盤となる精緻な脳神経回路は、臨界期とよばれる生後の一定期間に、外界からの刺激によるリモデリングを受ける中で形作られます。マウスの体性感覚野は、生後数日間の末梢感覚器(頬ヒゲなど)からの入力による回路リモデリングが、「バレル発達」として組織学的に検出できるという特長を持つ、優れたモデルです。1個のバレルの中心には、1本のヒゲからの情報を伝える視床-皮質軸索の終末がクラスターを形成し、一方、情報の受け手側である第4層神経細胞は、その細胞体をバレル辺縁に配置し、樹状突起をバレル中心に向かって伸ばし、視床-皮質軸索とシナプスを形成します。しかしながら、バレルがどのような過程を経て形成されるかはほとんど未解明です。本研究では、マウス遺伝学などの手法を用いることにより、バレル形成の素過程を明らかにし、そこにどのような分子、神経活動が関与するのかを解明することを目指します。
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