公募研究 東京大学・冨田 太一郎

感覚神経MAPK制御のリアルタイムな可視化による線虫の環境応答行動の研究

東京大学・医科学研究所 助教 

冨田 太一郎 

 生体には環境変化を察知して、その情報を処理し、うまく適応するという一連の環境応答のしくみが備わっています。従来の遺伝学的あるいは生化学的な解析からどのような分子が環境応答に関与するかという点は明らかにされてきましたが、その一方で、実際に生きた動物体内において分子レベルでどのような情報伝達が生じているのかはほとんど理解がなされていません。本研究では、酵母から哺乳類に至るまで真核生物種に広く保存されている代表的な環境応答シグナルのMAPキナーゼ経路に着目し、線虫の感覚神経をモデルに、従来法では理解することが難しい「生きた動物個体」の中で生じるキナーゼ活性やその上流分子の活性をリアルタイムに「可視化」することによって、環境からの刺激の情報が分子のレベルでどのような形で伝達されていくのかを追跡します。本研究により、MAPキナーゼ経路の分子レベルでの情報伝達の実像とその伝達メカニズムの理解を進めることで、動物が環境応答行動を作り出す過程に分子活性化の時間・空間的なダイナミクスがどのように寄与するのかを解明することを目指します。

 

  

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