線虫の遺伝学入門 〜線虫を使うことで、どのようなことが調べられるのか知りたい方へ〜
(2) 逆遺伝学 (reverse genetics) (1)で説明したように、表現型からではなく、ゲノム・DNAの面から解析をはじめるのが逆遺伝学です。 近年流行りのRNAi (RNA
inteference)は、dsRNAの細胞内への導入を介して、標的遺伝子の発現を抑制させる技術です。線虫においては、injection法,
feeding法,
soaking法の3つの方法が開発されており、それぞれ効果・手間などが異なりますから、実験の目的により使い分けられています[図4]。 しかし遺伝学を行う上では、変異体が存在していた方が何かと都合がいいのです。染色体欠失を誘発させる方法は以前から知られていました。その代表例がUV/TMP法です。特定遺伝子の染色体が欠失しているかどうかを調べるのは、欠失を期待する領域にPCRのプライマーを設計し、増幅した産物の長さが予想させる正常のものと比較して短くなっているかどうかを調べます。実際の手順としては、まずUV/TMP法などによりランダムに染色体を欠失された変異体の集団、欠失変異体ライブラリー(deletion mutant library)を作製します。それと同時に、それらの虫を溶かして回収したゲノムのプールも用意し、それらに対してPCRを試みて、欠失変異体が含まれているかどうか順番にチェックしていきます。 トランスポゾン(transposon) を利用した欠失変異体の作製もよく行われています。
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(3)機能解析過程における遺伝学的方法論
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