生殖細胞形成に関わる遺伝子の同定と解析
生殖細胞 (germ cell) は種の保存に必須である重要な細胞であるだけでなく、減数分裂という特殊な分裂形式を持ち、全能性や無限増殖能を秘めている、極めて興味深い細胞です。この異常は不妊 (sterile) の原因ともなります。しかしながら、生殖細胞の形成過程には多くの研究にも関わらず、未知の点が多く残されています。私たちは逆遺伝学を用いて、生殖細胞形成に関わる遺伝子を効率よく検索するアプローチを試みています。すなわち、cDNAプロジェクトによって得られた約7500のcDNAのうちから、生殖腺 (gonad) に特異的に発現する遺伝子約300を同定しました。これまでに、これらのうち168について、RNAi法と呼ばれる逆遺伝学の手法によって線虫でその遺伝子の機能をなくし、どういう異常が出るかを調べました。この結果、生殖細胞形成に必要な15の遺伝子を同定しました。胚致死等、不妊以外の表現型が認められたものは26ありました。
<図5>
<論文:Hanazawa et al., PDF>
<上記RNAiの全結果のデータベース>
−線虫の生殖腺についてのイントロダクションは、
蛋白質・核酸・酵素 1998 3月号増刊 (Vol.43 No.4) 生殖細胞の発生と性分化
p364「線虫C.elegansの性と生殖」
細胞工学 Vol.20, No1 (1月号), p38 (2001) 「線虫C. elegansとゲノム研究」
をお読みください。
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